小説

失われた時を求めて - スワン家の方へ 1 -

素晴らしい小説でした。 本当に文学の遺産というべき小説です。この小説の何処が良いのか? そう問われたとしたら、「主人公の幼い頃の淡い夢と、主人公を取り巻く狭い世界を追想している景色に共感するから」、と答えることにします。散漫的で話の本流を掴…

左手をつないで

ドルチェ・ヴィスタシリーズの最後の巻ですね。ずっと忘れていたけれど、読んでみた感想を書こうと思います。3作目は2作目に近い形です。幾つかの短編と、1作目からはじまった世界の収束を書いています。どの短編も根幹にあるテーマは同じで、「現実の中に舞…

近頃の読書

最近は本を読む時間もあまり取れなくて、全然ご無沙汰していましたが、あるページを見たのがきっかけで再び読書熱が沸いてきました。カポーティの「遠い声、遠い部屋」やプルーストの「失われた時を求めて」を読んでいます。読んでいますが、本当に限られた…

お伽話のように

ドルチェ・ヴィスタシリーズの2作目ですね。講談社ノベルス、高里椎奈さんの小説です。 内容は三部構成で、前作と同様、ファンタジーです。講談社ノベルスにあるまじきジャンルですw 前作は一応ミステリの形をとっていましたが、『お伽話のように』は完全に…

クリスマス・テロル―invisible×inventor

読みました。 フリッカー式 エナメルを塗った魂の比重 水没ピアノ と来て、ついにこれを読みましたヨ。でも・・・ これを読み終わったあと、作者に怒りすら覚える。これは読んでいる人を激昂させてしまうだろう。ストーリーに裏切られたから、内容がつまらな…

未来の白地図

マリみての新刊ですねー。ようやく読み終わりました(笑)。今回はイベントモノもひと段落して、ストーリーも少し進みます。やっと進んだか、っていう感じです。久しぶりに読んでみると、やはりラノベですけれど、なかなか面白いですねー。ストーリーを話して…

ライ麦畑でつかまえて

今まで”ライ麦畑でつかまえて”は未読でした(T∇T)。もうね、この年までサリンジャーを未読とは情けないです。前回のブログでちょこっと書いたこともあって、早速買って読みましたよ。野崎訳の方を。 簡単なあらすじ 主人公のホールデンは世の中の大人の世界の…

翻訳能力

私は海外文学が好きです。読書を良くする方なら判るかもしれませんが、近頃翻訳家が結構増えています。とりわけ女性翻訳家が多いです。それが別に悪いことだなんていうつもりもないし、相続性になるよりも全然良いです。が、大きな問題が!! それは、翻訳す…

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い

西尾維新の『戯言シリーズ』最終巻です。思いっきりネタバレします。ネタバレどころか、既に終わってしまったこのシリーズを、さらに終わらせるために徹底的な考察を書こうと思います。既に読んだ方のみ先を読んでくださいませ(´ー`)

夜行性動物の見る夢

つい先日、薬物による殺害未遂事件が起こりニュースになっています。犯人は少女で被害者はその母親です。その少女の書いていたブログの文章がテレビのニュースに良く映ります。文面を見ると、真っ先に長野まゆみさんの文章を思い浮かべてしまいました・・・ …

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い

「生きている以上、世界の終わりを物語の終わりを、諦めることはできない」“人類最後の遊び人”たる「狐面の男」は「ぼく」こと“戯言遣い”に断言する。玖渚友との決別。想影真心の暴走。そして、復活する哀川潤……。シリーズすべてを貫く伏線の楽譜(スコア)…

野ばら

部屋には文庫本とかテキトーに詰んであります。今日は長野まゆみの”野ばら”を読みました。もう何度も読んでいるので、2時間で読み終わりました。こういう小説を読んだこと無い人がこの本を開くと、はっと驚くだろうなぁなんて思います。文章の色がそこら辺で…

四季 春

森博嗣さんの小説です。”すべてがFになる”が面白かったので、読んでみました。せっかくなので解説してみます。 まず、表題が”四季”となっています。文学に詳しい人なら、ある作品がピンと来るはずです。私はあんまり文学に精通してませんが、それでもピンと…

天使の梯子

村山由佳の小説、天使の梯子を読みました。天使の卵の続編ですね。本屋をふらついていたときに偶然目に留まり、一ページ目を開いてみると、 もしも楽器がなかったら いヽかおまへはおれの弟子なのだ ちからのかぎり そらいっぱいの 光でできたパイプオルガン…

ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs 橙なる種

読みましたよー。戯言シリーズも残り一作で終わりになりますね。というわけでネタバレ感想を書きます(笑)。既に読んだ人だけこの先を読んでくださいね。

高里椎奈さん、文庫化

薬屋探偵妖綺談シリーズが文庫本化されました。それはうれしい限りなんですけど、 表紙が趣味丸出し!? で、私なんて恥ずかしくて買えません(笑)。メフィスト賞受賞作とはとても思えない表紙です。どこかのティーンズ文庫みたいな雰囲気。やっぱ、ライトノ…

水没ピアノ

佐藤友哉さんの作品です。一応講談社ノベルスから出版されていますが、完全にライトノベルです。内容は、2000年頃から良く見かけるストーリー。どことなく使い古されたネタ。それでも、ダントツに面白い小説です。 彼の作風は”フリッカー式”で、ある種のスタ…

煙か土か食い物

舞城王太郎さんの小説です。【圧倒的文圧を体感せよ】が謳い文句の舞城さんです。小説の前半は、まさに圧倒的な文圧を感じましたが、途中からは・・・あれ?みたいな、話の焦点がとある人物に移るにしたがって、意外にもやさしい文になって行きました。なか…

すべてがFになる

森博嗣さんの推理小説です。副題は、"The Perfect Insider"です。 私は本の内容は完全にネタバレすることにしています。確かに、内容について触れないほうが後で本を読む人のためでもあるのでしょうけれど、内容を確認してから読むのも時には良いものです。…

スールオーディション

マリみての最新巻を読みました。最近の2巻よりも全然面白くなって、とりあえずは一安心。前作は、面白い作品が、だんだんと陳腐になっていく典型例の道を進んでいたので、心配でしたヨ。なんか、久々にマリみて読んだ〜っていう気分です。

岡田斗司夫さんの日記の終了

モノマガジンに連載されていた日記が終了してしまったようです。実は、この日記は連載が始まった当初から読んでいました。もちろん、モノマガジンで。もう7,8年前かなー(笑)。私が岡田斗司夫さんを知ったのは、オタクの方面からではなく、朝日ソノラマ文庫の…

新本格魔法少女りすか 2

さっそく読みました。 敵の敵は天敵 魔法少女は目で殺す 出征! 今回は新しく新キャラが登場します。上記の三本立ての中では”出征!”が面白かったです。純粋に、本当に面白いと思いました。マジですw 出征!は、奈須きのこさんの月姫という作品の、蒼崎青子…

私の優しくない先輩

今日はNHKで小説家を目指す若者特集をしていました。以前に此処で言ったかもしれないけれど、どこかの評論家が若者の活字離れを嘆いていましたが、全然そんなことは無く、むしろ活字に近づいています。”役不足”などの誤用の指摘が多くなったこともそれを象徴…

こういうときこそ戯言は音を立ててよく響く

才能がある作家なのに、世間からは全く評価されない西尾維新・・・2chをみる限りだと『もっと評価されていいだろ』みたいに応援されています。緩慢な滅びの道を邁進している純文学に新しい風を入れて欲しい。近頃ライトノベルが大分評価されてきたので、思わ…

ネコソギラジカル

ネコソギというネコソギをネコソギしろ。 我々は美しい世界に誇れ。ここは死線の寝室だ、存分に暴れろ死線が許す― ネコソギラジカルを読みました。ネタバレしようかどうか悩みます(笑)。過度のネタバレはしないように感想を書きます。 そしてアマゾンで一位…

正当を塗った、正統でない本の比重

エナメルを塗った魂の比重を読みました。もうユヤたんはお腹一杯です。此処まで読んで、一つ気づいたことがあります。佐藤友哉、西尾維新の二人の作品がライトノベルと分類されるかどうかはともかく、ライトノベルがどうしてライトノベル以上でないのかとい…

ネコソギラジカル

どうやら2月に発売するらしいです。半年間も待ってしまったー(笑)。ネコソギラジカルは三部構成で、それぞれが戯言シリーズのエンディングに相当するみたいです。上巻は零崎人識エンド。中巻は哀川潤エンド。下巻は青色サヴァンエンドみたい。戯言シリーズは…

フリッカー式 〜 鏡公彦にうってつけの殺人 〜

読んだヽ(´ー`)ノ 佐藤友哉の処女作です。講談社ノベルスの新しい流れをもろに感じる作品です(笑)。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らが書く作品は、彼らとちょうど同じくらいの年齢の社会通念をふんだんに盛り込んでいるから、それが分かる人が読めばきっ…

ライトノベルにみるラーメン化

2,3年前からラーメンがブームになって、あちらこちらで行列の出来るラーメン店を見かけるようになりました。ラーメンの良いところは、全く型に縛られずに自由な創作が出来るところです。つまるところ、おいしければそれで良いのです。 何時の頃からか、日本…

ユリイカ -9月号 西尾維新特集 -

ユリイカを買いました。あんまり買うつもりはなかったけど、たまたま目に止まったので購入です。その中で非常に興味深い一文が― 『西尾維新はラブストーリーを書くことを避けているんじゃないかな』というものです。全くその通り、私も同感です。おそらく意…