ネコソギラジカル(中) 赤き征裁 vs 橙なる種
読みましたよー。戯言シリーズも残り一作で終わりになりますね。というわけでネタバレ感想を書きます(笑)。既に読んだ人だけこの先を読んでくださいね。
物語は急展開へ。橙と死色の真紅との戦いは、あっけなく終わってしまいます。いーちゃんは十三階段を突破するため、十三階段のメンバーとひとりずつ会って裏切るよう持ちかけます。最後には宴九段の正体も分かり、非常に気になるところでエンド。
次巻の"ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言使い"が本シリーズの最終巻です。しかし、物語は全然収束するように思えません(笑)。で、物語の焦点となるのが、西東天の目指す物語の終わり、ディングエピローグです。一体世界の終わりには何があるのか。私の思うところですけれど、ココでいうディングエピローグとは、いわば推理小説の結末なんですね。「占い師に先を言われちゃ興ざめだ」という台詞などからそれを伺うことが出来ます。つまり、西東天の目指すところは、小説からの脱却であり、もっと言ってしまえば作者からの脱却なのかもしれません。私達は推理小説を読んでいるとき、作中にどんなに奇抜なトリックや論理があろうとも、それらの結末は本の後ろの方に書かれているわけで、そのエピローグに向かって一直線に読み進めているだけなんです。例えば10万ページある推理小説があるとします。そうしたら、誰もが途中で結末を知りたくなるのは当然です。
で、実は小説の登場人物が、その物語から脱却を目指す小説を私は一つ知っています。それはソフィーの世界です。おそらく西尾維新はソフィーの世界の影響を強く受けています。なぜかというと、
ネコソギラジカルは、完全にライトノベルです。ゲーム、マンガ等からの価値感の補完なくしては楽しめないでしょう。戯言シリーズに限らず、本作者の作品はだんだんと抽象的で、自己のイメージや精神に内向したストーリー展開になっています。夢中で読んでいるときはそれでも面白いのですが、ふと醒めてしまったとき、ストーリーの無味乾燥さに気づき、飽きてきてしまうところもありますね。