お伽話のように

ドルチェ・ヴィスタシリーズの2作目ですね。講談社ノベルス高里椎奈さんの小説です。
内容は三部構成で、前作と同様、ファンタジーです。講談社ノベルスにあるまじきジャンルですw 前作は一応ミステリの形をとっていましたが、『お伽話のように』は完全にファンタジー3本立てですね。

第一話

主人公、黒の物語です。ファンタジー作品でネタバレしてしまうと本当に面白くなくなってしまうのでストーリーに関しては割愛します。とにかく、この一話目では耽美な舞台設定を2つの視点から堪能することができます。3話構成の本小説ですが、1話目と2話目では舞台設定に共通なものがあるため、1話目は2話目のステップともなっています。
高里椎奈さんの文体は長野まゆみさんのように漢字が多用されているため、慣れていないと読みにくいかもしれません(笑)。そして、所々に話の跳躍があるため、一度話の筋を見失ってしまうと置いてけぼりを食ってしまいます。

第二話

この第二話が一番面白いかな。と思います。第二話は第一話の舞台設定を踏み台にしています。だからすんなりと導入部分を納得することができるし、それがトリックにもなっているんです。
この作品は決して名作ではありませんが、なかなか面白いです! 完全に箱庭世界ですが、それはそれで面白い部分が沢山ありますよ。丁寧に組まれた舞台を走り回るストーリーが実に気持ちいい。前作『それでも君が』を読んでいるともっと舞台を楽しむことができます。
ネタバレしない程度に説明すると、大人になったときにピーターパンがもう一度想像の翼を与えてくれるというストーリーです。

第三話

とある理由から医者に付きっ切りになっている主人公のお話。重い病気なのか? 学校へも行かず・・・
現状を打破するため、主人公は目の前に奇跡が降りてくることを夢見ています。けれどもそんなに簡単に奇跡はやってきません。しかし、ある日キンカンと出会った時から、彼のストーリーは急に加速します。彼に隠された真実は、彼の葛藤を待つ間もなく矢継ぎ早に明かされていきます。それこそ映画のように―


高里椎奈さんの作品は涼しい印象を受けます。とても青い― でも、私は好きですねw 私の好みのベクトルにめっさ近いです。ストーリーが好みなわけでもなく、技術が好きなわけでもなく、blueを求めているわけでもなく、端的に言ってしまえばあの文体が良いんですよ!(≧∇≦)