オズの魔法使い

いつもより早く起きた日に、会社へ一時間ほど早く向かいました。途中で喫茶店に入り、そこから川を見ながら音楽を聴いていました。そのときは気分が塞ぎ込んでいて、少し一人でいたかったのです。こういうときには渡辺美里を聞くことにしています。これを聞いているといつも泣けてきます。以前の事を思い出して、普段は全然表に出てこない、あまりにも弱かった自分になってしまいます。

真っ直ぐに見える道を走り続けたあの頃
上手く行かないときには、たまに道草をするのもいい
今日起きた出来事さえ、誰に話せばいいのか
周りの人の優しさ触れて 急に泣きたくなったよ


いつも誰かと比べる度に、小さな勇気見失っていた


オズの魔法使いの登場人物は、

    • 異次元の世界から、自分の世界へ帰りたいと願うドロシー
    • 失くしてしまった勇気が欲しいライオン
    • 人並みの頭が欲しい案山子
    • 心を取り戻したいブリキのきこり

です。みな、本当は以前から持っていたはずのものを取り戻すためにオズの魔法使いに会いに行きます。オズの魔法使いの話を思い出したとき、私も同じく悲劇の袋小路に入ってしまっていることに気づきました。道に迷った自分にもう一度勇気を取り戻してくれる魔法の言葉が欲しい― 言葉は人を突き動かしてくれるから。そんなとき、一番辛かったときに聞いていた音楽を聴くことにしているのです。感情を飽和させて、止め処も無く涙が溢れてきて、やり場の無い感情を吐き出してしまいます。
こんなときに聞く歌は、格好良いアップテンポの曲や流行の曲ではなくて、一生懸命愚直なくらいに真っ直ぐ歌う歌が大好きなんです。人を感動させるのに、テクニックは要りません。
真剣に真っ直ぐ歌う声を聞いていると、忘れていた真っ直ぐさを思い出すのです。そう、勇気をなくしてしまったライオンのように。