正しい言葉

最近言葉の揚げ足取りが流行っています。例えば"役者不足"と"役不足"、"的を得る"と"的を射る"。本当にばかばかしい。こんなことを言っているよりも新しい言葉を考えた方がよっぽど生産的です。そして、このような考え自体が島国根性なのですヨ。
例えばモバイル。以前はもちろんモビールと読んでいました。今では誰もがモバイルと呼ぶし、私がモビールと読もうものなら、『鬼の首とったぁぁぁぁーーー!!!!』みたいに隣人に指摘されます(笑)。エーテルもしかり。以前はetherのことをエーテルと読んでいました。光の媒体という意味ですね。しかし、今では皆さんは何と読んでいますか? "イーサ"って読んでいるでしょう? まさかイーサネットのことをエーテルネットなんて読みやしないでしょうから。
ethernetは宇宙のように広がることを夢見て"エーテルネット"を名づけられました。言葉は文字ではないから、流動的で社会通念に応じて常に変化していくものなのです。それを抑止するような真似は、文化の発展をときに妨げてしまう。日本人の大きな誤解の一つは、文字を言葉よりも先にイメージすることだと思います。そう、私達は話し言葉よりも書き文字の方が得意なんです。それは日本語自体にも現れています(ひらがな、カタカナ、漢字を多用していますよね)。また言葉と文字のように、物事の境界を曖昧にしておくのが私達日本人の美徳の一つなんです。
近年ではネットを利用してますます文字に触れることが多くなりました。そうすると言葉の誤用に気づいてしまうものですが、それを揚げ足を取るように指摘するのは些か風情に欠けるというものです。
皆さんは英語を習うとき、比較級や最上級、仮定法未来なんて文法を習ったと思います。でもね、言葉というのは非常に流動的なんですよ。比較級なんていったら、全ての形容詞が比較級ではないんですか? willは未来というよりも、その人の意思(will)を表しているからこそ、「〜するつもり」なわけで、それが予定調和の未来を示しているわけでは決してありません。
私達が心配しなくとも、古き良き言葉はなくなってしまうわけではなく、カタチを変えて存在しているはずです。心配せずに見守っていくのが正しい言葉の使い方ではないでしょうか。
・・・最後に、正しい言葉を守ろうとするならば、「必ずしも、〜ではない」って使うのは止めましょう(笑)。”しも”は強調の”しも”なので、この場合は「絶対に〜でない」の意味になってしまいます。「必ずしも〜とは限らない」と使うことを心がけましょう(笑)。また、「〜的」というのは森鴎外の造語で、「〜tic」という英語のticを日本語に直したものです。「外交的、経済的、国際的」と「〜的」を多用するのは止めましょう。決して正しい言葉ではありません。八百屋さんで「一ケ」と書いてある”ケ”は、中国の”個”という漢字だったのですが、荒く書いているうちにカタカナのケに近い形になって、誰かが”ケ”って間違って読んだのが始まりです。ちゃんと「いっこ」と読みましょう。
結局批判してるじゃん、私・・・orz (あしぇ〜