デザインは素材だ

"モノ"を見たときに私が一番気にする部分はマテリアルです。まず素材に関心が向きます。次にデザイン。モノを買うときには哲学があって、

  1. 『欲しいな』と思って迷ったら、必ず購入する
  2. 実物を見て買う
  3. 素材を気にする
  4. デザイン

特に重要なのが一番最初の「迷ったら必ず購入する」というものです。モノは迷ったら必ず購入しなくてはいけません。それは、後になって買おうと思ったときには非常に希少になっていて、かえって高くつく場合が殆どだからです。下手すると一生手に入らないかもしれません。
それで値段にはあえて触れなかったのですが、そこがモノの所有するっていう価値観を左右する重要なところなのです。つまり、値段を気にして買うのは実用品であり、ともすればガラクタとおぼしきものに大枚をはたいて買うのがモノです。私は本当にモノに凝っていますが、日用品はどーでも良くて安いものを買っているのですよ(笑)。
話は変わって、先にも言ったように、モノを選ぶときに素材とデザインをみるのですが、私は工業的なデザインが非常に好きです。腕時計だったらジンが好きだし、筆記用具だったらロットリングが好きです。
素材とデザインというのはものすごく密接に関係しているものなのですが、最近ではあまり素材とデザインが結びつくことが少なくなりました。これはデザイン的なマテリアルの観点から言うと、タイメックスというアメリカの腕時計会社が画期的な方法を思いついて、いまや日常品の殆どが似たようにデザインされているからです。その方法とは、プラスティックに自動車の塗料を塗ることで、金属的な質感を出すというものです。非常にインダストリアルな手法ですね。この手法は本当に革命的で、以来多くのものが自動車の塗料を塗ったプラスティックで溢れるようになりました。腕時計はもちろんのこと、携帯電話だとか、パソコン、家電、テレビ、筆記用具、家具・・・・・など、数えたら限がありません。
それはプラスティックの恩恵でもあるし、そのものの意味でもあることですが、そのような質感的なフェイク品が蔓延しています。でもね、
プラスティックはアイヴォリーには勝てない―
絶対どうあがいたって勝てない。本物をみるともう戻れない。プラスティックにカッティングシートを貼ったものはカーボンファイバー積層板には勝てないし、筆記具のプラスティック軸はエボナイト軸やセルロイド軸には絶対勝てっこない。ジルコニアはダイヤモンドには勝てない。それは、デザイン的にも質的にも、実用的にも勝てっこないのです。まさにそう思ったときが―モノを欲しくなるときなのです。そのときに感じる素材の力=デザインの力であるように感じます。徹底的な機能美が一番美しい(笑)。
モノに躊躇なくお金を出せるのが不思議でたまらない方も絶対にいると思いますが、それはコンセプトそのものが違うからです。ちょっと理屈っぽいけれど説明すると、世の中の社会通念が「沢山あるものをパァーっと使い、少ないものを大切にするのが美的だと感じる」ものですが、このようなモノは「少ないものを惜しみなく大量に消費するのを美しいとする」考えが多少なりともあるから、根本に日用品とかみ合わないのです(笑)。(無粋で愚直な意見は勘弁してくださいネw)
最後ですが、モノを所有するということは、そのモノを手放す勇気を持つことです。これはすっごく大切なことですネ。その点、非常に花に似ています。花は意外に高価なものですが、花にかかるお金が惜しいと思っている人は、きっとこういうのも嫌いなんだろうなぁ。陳腐な言い方をすると、其処に魂を感じるからこそ、所有するのですよ。(花とか趣味のものを買って「お金もったいなくない?」とかそういうことを私に言うのをやめてください。そういうのを聞くと幻滅します。というか器が知れる…)
なんでこんな子供相手みたいなことを書いているんだろう(´Д`;)・・・自分が一番器が知れる(爆笑)