冷たい校舎の時は止まる (上)

非常に無粋な目的でこの小説を読みました。というのは、作品よりも作者の背景に興味があったから。それで読んでみた感想ですが、『ああっ、やっぱり』。結局自分の予想通りの価値観で物語を書いているなぁ、と半分くらい読んでがっかり。もうちょっと広い価値観で物語を見つめなおして欲しいかな、っていうのが正直な感想でした。しかし、私の意見は先にも言ったように非常に穿った意見なので、無視してくれても構いません。それで全体を読み通したのですが、ストーリー自体は楽しい! けれど、説明に非常に文字数を割いていて、この内容だったら(上)(中)(下)を一つにまとめられてもおかしくはなさそうです。未だ上巻しか読んでいませんが、登場人物の説明を耽美なまでにディテールを細かく説明しているところが多いかなって。私はそういう耽美な世界観の小説って好きなんですけれど、何というか、『作者さんはきっと登場人物のセリフまわしについて、120%頭の中で完璧な世界が出来上がっている』みたいな感じですね。完璧だからこそ、それをアウトプット(文字にする)するときに、つい説明不足というか、傍から見て分かりづらくなってしまいます。自分だったらそういうタイプじゃなくって、大まかな雰囲気だけ頭の中にあって、とにかくどんどん書いていく。書いていくうちに自分で感情移入できるようになってきて、がしがし書くみたいなタイプです(西尾維新さんなんかはこのタイプっぽいw)。でもこの作者の気持ちは本当に痛いほど良くわかるっ! この辺はあんまり本質的な内容じゃないし、もっと書いていくうちに慣れてくるだろうから良いでしょう。
ただ、作者は自分のペンネームと同じ名前のヒロインを登場させていますが、それはこの作品に思い入れがあるからだろうけれど、きっと数年後で後悔するぞ〜(笑)。それと、なまじ自分と同一のキャラを登場させたこの作品は、今まで作者の中でコツコツときれいに組み立てられた大事な世界だと思うから、それをメタファーなしでこんな形で出してしまうと、今後小説が書けるのだろうか心配になるところ。。。
一つ気になる点は、ランゴリアーズと十五年漂流記が説明されてましたが、あれはもっと別な形で、誰にでも分かるメタファーのレベルで言い換えた方が良いかも。言いたいことは分かるけど、メタファーにしては直接的過ぎるYO!!(笑)。まあ、私もランゴリアーズが好きなので良しとします( ̄∇ ̄)。
というわけで技量の甘さが目立ちますけど(爆)、先が気になって仕方がないっていうか、続きが早く読みたいので、やっぱり面白いです♪