科学帝国の崩壊

科学は死んだと叫ばれて久しくなりました。21世紀になって、今でもSF映画の世界を信じている方は本当に少ない・・・確かに宇宙旅行スペースコロニーなんて叶わないけれど、もっとミクロな視点で眺めれば、私達の生活は以前夢見ていたSFの世界に近づいています。
スターウォーズという映画が大ヒットし、続編が今年公開しますね。初期のスターウォーズがヒットした背景には、撮影技術やストーリー、役者の演技よりも、分かりやすい正義と悪の構図が受け入れられたからです。すなわち、共和国が力をあわせて、帝国をやっつけるというものです。まるで冷戦時の社会風刺ですね。それに加えて、人類が宇宙へ到達したことへの、科学に対する期待・・・皆はドラゴンクエストファイナルファンタジーが名作RPGだと信じて疑わないけれども、悪い軍国主義の帝国を、民主主義の共和国が力を合わせてやっつけるという社会通念に沿ってみれば、其処に垣間見えるものは盲目的なファシズムなのです。
コンピュータ、ロボットの目標って何でしょうか? 答えは簡単、IQ 100のコンピュータを搭載した、人間と同じ自由度を持つロボットを作ることです。そうすれば、私達は労働の一切合財をロボットに委ねることが出来るからです。しかし、それは同時に人の労働を奪ってしまうのですよ。ロボットの意味は、”働かされるもの”だから。でもね、私達はニートの方に対して、働くことの素晴らしさを誇らしげに、詠うように、言い聞かせるのです。まるで本末転倒でしょ? 如何に働かずに済ませるかを追求するために労働しているというのに、労働を賛美している節があるのです。
スターウォーズの面白いところは、超人的な能力を持つ騎士の能力が、ミディ・クロリアンという細胞に由来している等といった科学的な設定ではなくて、共和国、帝国の立ち回りです(笑)。ミディ・クロリアンなんて、ミトコンドリアからのメタファーでしょう。スターウォーズクローンの攻撃”では、帝国は本当に間違っているのだろうか? いや、帝国が正しいのでは!?という主人公の葛藤を見ることが出来ます。どう? 面白いでしょ( ̄ー ̄)
さて、私達は本当に働かなくてはならないのでしょうか。もしかしたら、そんなことはないのかもしれません。労働が正義だと思える社会では、科学は敵以外の何者でもありません。科学は人を豊かにしたのではなくて、人を自由に解放したのです。交通機関のおかげで何処にでも行けて、医療技術のおかげで難病から快復し、ネットワークのおかげでコミュニケーションの不都合からは無縁となった。私達は自由を求めるたび、実は孤独になっています。それを実感することが私には年毎に多くなりました。
お金が正しい? 社会が正しい? 労働、それとも科学が正しいのですか? お金も仕事も通信でさえディジタル化されて、SF映画にあったような、(カタチこそ違えど)働かなくても良い社会が迫っています。最近、私は自由が怖くて仕方ありません。何故って? 先が見えないから。孤独の暗闇の中で、盲になるのが怖いから―
こんなことを、時々考えたりしています。