ある雨の日の会話

4月の中ごろは雨の日ばかりでした。私は別段、雨が降っていても気持ちが沈むことは無いのですが、雨が降っていることでその日がとりわけ印象深くなることがあるんです。その日は、ある方と、しとしとと雨の降る喫茶店で会話をしました。何故そんなことを今になって書くのかって? ちょうどその日、上着のボタンが取れてしまって、駅の近くでソーイングセットを購入して喫茶店で繕うっていうハプニングがあったから、印象強く覚えていました。その日の会話は、

「君の考えていることは分かる。すっごく分かる。普段からいつも何遍も考え事をしていることも分かる。」
 ―そうだね、確かに私はいつも考え事をしてたかな。
「君がその考えに従って、今現在、その行動をとっていることは凄く良くわかる。だから分かるんだけど、君はこの先、必ず躓くと思う。でも、絶対に君なら超えられる。」
 ―その通り。痛いところを衝かれてしまった。自分でも近いうちに必ずつまづくなんてこと、分かってる。
「君が高い視点に立って、全体を俯瞰しながら考えていることは分かる。じゃあ、そこで君の目に見える風景は何?」
 ―それは、何度考えても見えてこない。自分には、そこに飛び込む勇気がないのだろう。

久しぶりに非常に頭の良い人と話しました。ははっ、あんな禅問答の消費合戦で良く分かるものです。私に見える世界は一体何なんだろうね? 全くの虚空しか私には見えない・・・